近現代史研究会第28回聴講会が開催されました
◆近現代史研究会 聴講会(第28回)概要◆
- 講演テーマ:「新鋭巡洋艦『矢矧』の戦闘と私」
- 講師:池田 武邦 先生
◆開催日時
- 平成26年6月7日(土)14時~18時
◆開催場所
- アークヒルズコミュニティーセンター
- 住 所:港区六本木1-3-39 アークタワーズイースト2階
- アクセス:地下鉄南北線 六本木1丁目駅 3番出口より徒歩3分
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当時の様子を語る池田武邦先生 | 池田武邦先生を囲んでの集合写真 |
◆講師プロフィール
- 大正13年
1月生まれ。本籍高知県。
神奈川県藤沢市で育つ。建築家。 - 昭和18年
9月、海軍兵学校卒業(72期)。戦艦「伊勢」乗組み。
11月、軽巡洋艦「矢矧」艤装員として少尉候補生で着任。
12月、「矢矧」航海士。「矢矧」と共にマリアナ沖海戦、
レイテ沖海戦(サマール沖海戦)に参加。 - 昭和20年
2月、中尉として「矢矧」測的長兼第四分隊長となる。
4月、天一号作戦(大和特攻)に参加。
その後、大竹にある潜水学校教官。原爆投下後の広島で救難活動を行なう。
終戦後は復員業務に従事した後、東京帝国大学(現・東京大学)で建築を学んだ。昭和42年に日本設計事務所(現・日本設計)を設立。新宿三井ビル、京王プラザホテルなどを設計し、超高層ビル建築の草分け的存在となった。その後も日本を代表する建築物の設計総括などをつとめ、ハウステンボスを手掛けたことでも知られている。
参加者の感想
死に対する恐怖や生への執着がなくなる経験=戦争、は生きる上で必要な経験なのだろうか。仮に同じ経験をしたとしても、池田先生のように恐怖や執着を手放すことができるだろうか。そのときにしかわからないことですが、先生がおっしゃったように善し悪しにかかわらず歴史の真実を見つめて、万が一というときに備え覚悟を持って学びたいと思います。ありがとうございました。
(41歳・男性)
90歳とは思えないというと失礼かもしれませんが、非常に理知的なお話であったと思います。穏やかな、なめらかな語り口ですが、内容は非常に激しいものであったと思います。それを穏やかに語れるのは、経験した方であるからだろうと思います。戦記物などでは、翔鶴沈没と既述されるだけのことが多いですが、その状況を見たものだけが語れること、あるいは生々しさを感じました。矢矧のお話を聞くこともないので、非常に新鮮な思いで聞かせていただきました。
(50歳・男性)
本日は貴重なお話をお伺いでき、大変ありがとうございました。ときに候補生時、永野軍令部総長よりの「油断大敵」は、けだし名言、今日でも通用する至極の格言だと思いました。また戦争の真実の姿が如何にむごいものであるか、真に迫る言葉で拝聴して、平和であることの幸福をつくづく感じました。平和であることが当たり前のように思う現今、平和は与えられるものではないことを痛感いたしました。また、先生の「歴史を正確に見つめないと明日はつくれない」は、まさに今、日本人が民族の誇りを取り戻すのに最適な助言だと思います。あらためて本日は貴重のお話、ありがとうございました。
(58歳・男性)
日本という国が生まれて最大の危機である大東亜戦争、その正面で戦った連合艦隊の最後、マリアナ、レイテ、沖縄と戦い抜いた池田先生の実体験は、とても勉強になりました。戦後の日本人が当時の日本人を批判することの恥ずかしさを実感しました。「勝てるとは思わないが降伏するとは思わなかった」「自分は軍人だから死ぬのは当たり前、だが子供達がどうなるか」というお言葉が印象に残りました。
(46歳・男性)